金宮さん

SR サイタマノラッパー2 〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜の金宮さんのレビュー・感想・評価

3.5
さびれた北関東とヒップホップ。一風変わったアプローチに見えるけど、だからこそラップに頼らざるをえなかった「日本のリアルな鬱屈」の真に迫っている傑作シリーズ。パート2の今作は、コンセプトはそのままにフィメールラッパーを主役とすることで、ヒップホップの度量をより広げて見せています。

別に人種差別に悩むデトロイトの鉄工所員じゃなくても、アラサー独身群馬のこんにゃく工場女性スタッフでいいんですよね。

1→3→今作という、ちぐはぐな順番で観てしまったのでやはり3に比べてクオリティは低いなあという感覚をもってしまった。それは映像演出という意味だけでなく、キャラクター達のラップスキルに対しても。下手だし、正直イタい。でもそこにこそ、今シリーズが伝えたいヒップホップの魅力がある。

我慢して観ていれば、心にガツンとくるラストが待っているのは前作と同じ構成。途中の下手っぴを味わってるからこそ、キャラクターのルサンチマンをこれでもかと見せられているからこそ、最後のフリースタイルは強く胸に響く。テクニックのみではない。ラップをしたい!という強いバイブスもヒップホップの醍醐味であるというのを体現している。

ーーーーーーーーー

前作からの進化点としてキャストが豪華になったこともある。今作以降「地方」「貧困」「無意な仕事」へのモヤモヤを何度となく演じてきた山田真歩さんと安藤サクラさんは、主題にぴったりのキャスティングだった。その2人のラップが聴けるのも今となってはとっても豪華。
金宮さん

金宮さん