このレビューはネタバレを含みます
戦火を渡り歩く馬の話。
第一次世界大戦を背景に、一頭の馬が様々な飼い主と出会い、その飼い主を通して戦争の恐怖が描かれていく。
本作の特徴としては、飼い主が変わる毎に、映画のジャンルやトーンも変わっていく事が挙げられるだろう。
牧歌的な話かと思ったら、戦場の話になったりと、180度違った世界が描かれるのが面白い。
この辺は社会派映画からエンタメ映画まで手掛ける、スピルバーグの全方位的な作家性が活かされているのではないだろうか。
そして、本作のもう1つの見所としては、第一次世界大戦を描いている事が挙げられる。
今でこそ、『1917 命をかけた伝令』という作品もあるが、本作のノーマンズランドへの突撃も負けず劣らずの迫力だった。
本作が馬を主人公にしているのは「馬から戦車へ」という、大量殺戮時代への移り変わりを象徴する存在でもあるからなのだろう。
原作が児童小説という事で、どこか物足りなさを感じなくもないが、流石はスピルバーグ印という事で、全編を通して楽しめる作品にはなっている。
子供と見れる戦争映画という意味では貴重だし、オススメの一作だ。