Takumu

戦火の馬のTakumuのレビュー・感想・評価

戦火の馬(2011年製作の映画)
4.5
勇気の物語。

イングランド、貧しい小作農一家の少年アルビーはサラブレッドの出産に立ち会っていた。子馬のポテンシャルを見抜いた父は、少ない持ち金をはたいて子馬を競り落とし、足の悪い父に代わりアルビーが調教することとなった。ジョーイと名付けられた子馬とアルビーは友情を深め、名実共に州一の名馬となる。そんな中、イギリスがドイツに宣戦布告、ジョーイは軍馬として徴収されてしまう。アルビーは、再会を約束してジョーイにしばらくの別れを告げた…。

主人を転々としながら戦地を駆け巡るジョーイの姿が勇ましくも悠々と美しく描かれていた。雄大な自然と迫力のあるセットはさすがはスピルバーグ作品といった感想。戦場で離れ離れであるのに、互いに希望を失わず、約束を果たすシーンは涙なしには見れない。

はじめにも書いたが、これは勇気の物語である。高い壁に立ち向かう勇気、戦場に踏み出す勇気、危険を犯して仲間を救う勇気、諦めない勇気、信じる勇気。これらを、アルビーとジョーイのそれぞれが有しており、2人(頭)の行動の対比が見事に描かれていた。成長には様々な勇気が必要になる。今までどんな勇気を発揮してきたか、人生を振り返ってみて欲しい。

戦闘終了後にジョーイが通ると兵士たちが次々に顔を上げるシーンが印象的。彼らの目が奇跡の馬に重ねたのは、失った仲間かこれからの希望か。悲しみに打ちひしがれた兵士を、ジョーイが未来へ引き連れていくように見えた。過去を乗り越える勇気。

もう一つ、絶対に忘れられないのが鉄柵に絡まったジョーイを救い出すシーン。戦地で生まれる敵との友情、長くは続かないが、決して消えることはない。ドイツ兵の潔さも好きだった。敵と手を取り合う勇気。

おまけに。出番は少ないがトム・ヒドルストンとベネディクト・ガンバーバッジの共演が見られるのでマーベル好きで戦争映画好きにおすすめ。

心から良かったと思う。
Takumu

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