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戦火の馬のEditingTellUsのレビュー・感想・評価

戦火の馬(2011年製作の映画)
4.0
今日の作品は、みなさん大好き、スティーブン・スピルバーグ監督の作品。

このレビューを始めてからは、スピルバーグ作品は初めてなんですが、私は大のスピルバーグファンです(笑)
”ジョーズ”や”レディープ・レイヤー1”のようなブロックバスター作品はもちろん、”シンドラーのリスト”や”ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書”のようなドラマ作品も大好きなんですねー。

なんといっても一番好きなのは、彼のブロッキング。
ブロッキングというのは、カメラと俳優、背景などの位置関係のことで、どこにカメラを置き、カメラと俳優がどのように動くのかを決める映画監督の中でも特に重要視され、そのブロッキングには、その監督の特徴がでます。

スピルバーグ監督の作品は一目瞭然。スピルバーギーなブロッキングだけで、2時間楽しむことができます。
とてもわかりやすいのは、俳優がカメラの前を横切る動き。言葉で表すのは難しいのですが、例えば車を降りてどこかに向かう時、俳優さんはあえてカメラの前を横切るために、車をぐるっと回ってその方向に向かっていったりします。(わかりにくか(笑))
これは、2次元のスクリーンに映し出される映像を3次元らしく見せる方法です。カメラとの距離感、被写界深度の深さ、照明のコントラストなど、撮影の一番大事な要素になります。

今作でも、実際に馬を使って撮影していて、カメラが動くショット、ドリーやハンドヘルド、クレーンなどのバリエーション、そこに含まれているサブコンシャス的な内容が本当に豊かです。

ワイドレンズを使って、ドリープッシュでキャラクターのクロースアップに持って行くショットは今作でも数十ショットでて来たんではないでしょうか。教科書の1ページ目にでてくるようなショットですが、それを有効的に使う最高の監督ではないでしょうか。

本作は、複数のストーリーが糸つなぎになっていくものなので、それぞれのストーリーにあるクライマックスでのキャラクターの表現が視覚的に伝わってくるのがよくわかります。イギリス英語で少し聞き取りにくい部分もありましたが、セリフなくてもストーリーがわかるフィルムメーカーとしてジェラシーを感じる作品でした。

このように、ハリウッドのトップの作品を見ると、毎回映画って本当に要素が多いなーと思ってしまいます。単純にエキストラの数が多いっていうのもありますが、それ以外にもクルーの数が多く、プリプロダクションにもポストプロダクションにも無数の数の人の力があります。
それぞれのキーパーソンがタレントを持ったレジェンドで、ビジョンを共有しているからこそここまでの作品が生まれるんですね。
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