ネズミツオ

ロボ・ジョックスのネズミツオのレビュー・感想・評価

ロボ・ジョックス(1990年製作の映画)
4.0
CG一切なし!圧倒的な物量感で迫るロボットによる米・ソの戦いを描いたパシリムの原点とも言える本物志向の熱いSFロボ・アクション。リアルスティールも影響受けてるんじゃないの?

コクピットに乗り込んだ"ジョックス"と呼ばれる操縦士本人の動きがロボットへダイレクトに伝わり殴る蹴るなど機械による肉弾戦、領土問題を巡る争いの決着をガンダムの実写版のようなアイデアで描いたというのが丁寧な特撮を用いた事とドラマパートの濃さのお蔭で子供騙しにならず説得力がありグイグイと感情移入できるのが面白い。

隊員のトレーニング場面も本格的な格闘技を取り入れており、針で出来たようなジャングルジムの頂上目指してひたすら上っていくTVゲームっぽいステージとか笑っちゃうけど、よくもまあ考えたなあと(笑)デビッド・アレンによるギクシャクした動きが魅力のコマ撮りは伝統のアナログ感を匂わせ、その情熱とミニチュア製作に費やした計り知れない苦労が見事ヴィジュアルとして活かされており感動させられること必至!スクリーンプロセスにストップモーションアニメ。これぞ手作りの極意。実在し手で触れる質感の違いってヤツですよ。

キャスト陣はスチュアート・ゴードン監督作の常連ばかりで固められているのも嬉しい。「死霊のしたたり」のジェフリー・コムズ(ただし脇役)、ロバート・サンプソン(バーバラ・クランプトンのお父さんやった人)。「ドールズ」で屋敷のお婆ちゃん役の女優さんとか陰険な母親でゴードン監督の妻とかホント賑やかでエンパイアピクチャーズ好きには堪らないメンツ。憎たらしいスパイ役でカウボーイハットを被った男は「溶解人間」で保安官を演じたマイケル・オールドリッジ。溶解~の頃よりだいぶ肥えていて貫禄が増していましたw 悲鳴が消えかからないうちに地面へ叩きつけられ死去するという後味悪さ。(これがもの凄い効果的な演出で記憶に残る!)

80年代後期。日本企業の急速な海外進出により脅威にさらされていたアメリカ。日系人をロボットの設計者にしたり、さり気なく折り紙を登場させたり、日本人を皮肉って見せたりとロボ対決より精神的ダメージを食らいそうな言葉の暴力が怖いですねぇ…。

そして希望の光が感じられる平和的な結末。ゴードン監督はホラーだけじゃなくこういうSFモノも上手く撮れる才能があるのだなと意外な一面を見る事が出来たのも驚きです。

【2017年4月18日(火)】ムービープラス
<2016年12月16日(金)放送>の録画で鑑賞。
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