Pam

戦禍の下でのPamのレビュー・感想・評価

戦禍の下で(2007年製作の映画)
4.5
この映画はね、めちゃくちゃハイブリッドなのです。


途中で「ええええ?うそでしょこれ」と思って、調べたら、セットがない?この映画すべて背景がほんもの?え?作り込んでない?どういうこと?

そうドキュメンタリーとドラマの間なのです。モキュメンタリーっていうんですか?

普通ドラマって背景とか作り込むでしょ?それが全く作り込んでない。爆弾で道が切れてたら道が切れてるし行けない、、それを「お話」として撮る。ガソリンスタンドが潰れてるのも、壊れたアパートの残骸を歩いていくのもセットじゃないの。まんまを映してるだけ。

舞台は2006年のイスラエルのレバノン攻撃後、戦禍の中で行方不明になった自分の姉と自分の子供をタクシー運転手さんと探す女性の話なのね。

実際、プロの俳優さんは3人であとは全部「そこにいた人」なんですよ。だからすごい。プロの俳優は、主人公と、ベイルートとから南に送ってあげる運転手と、途中で止まるホテルのレセプショニストだけ。あとは全部ほんまもんの人なのです。

風景から、国連軍から全部俳優じゃないのです。証言をする人も国連軍もジャーナリストも普通にみんな普通に自分の仕事をしてる人が出てきて喋ってくれたりする。演出がないんですよ。

これを見るとですね。いかにレバノンが、キリスト教とイスラム教との共存ができてるかもわかります。その横のイスラエルがいかにレバノンのキリスト教徒を利用してるかとか、聖書の国の人たちの現代の葛藤、また、レバノンにおけるフランスの役割など。。ややこしいけど、少しはわかった気がしますね。

これは映画ですがドキュメンタリーだし、ドキュメンタリーだけど映画だろうし。こんな表現方法があったとは!びっくりしました。

これはすごい!衝撃的で。いくら戦争に興味がなくとも撮影方法の勉強にもなるかもしれません。ほんとうに『西部戦線異状なし』がリアルだったら怖いでしょ?そう、そんな感じ。。
Pam

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