蒼月@隠居中エイプリルフールバニー!

ソドムの市の蒼月@隠居中エイプリルフールバニー!のネタバレレビュー・内容・結末

ソドムの市(1975年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

渋コレとして置いてあって、気になってた一作。見る前に解説サイトみてからみたので、まったくの初見の人とは別かなあ。DVDの解説にあった通り、大量消費社会とファシズムの批判、それは犠牲者がモノとしてしか見えずその個性がみえなかったからかもだけど。圧倒的な権力の前には犠牲者は無力でしかない。だがその犠牲者もイノセンスなわけではない。ファシズムに順応したのはある意味で犠牲者側にも責任はある。本当は初めに逃げ出した男の子のように逃げて死ぬべきだったのかもしれない。人間としてそれが正しいのかもしれない、あんなラストを迎えるなら。犯した罪を思い知れ、それは権力に従属してしまった犠牲者への最後通告だったのかも。でもそれは圧倒的な権力を持つ側と犠牲者の力の差が故できることだ。圧倒的な権力の前に犠牲者ができることはなんだったのか。初めの男の子のように英雄として死んでいくのか、黒人女性と同衾してた男の子のように拳をかかげて死ぬべきだったのか。でも人間は弱い。絶望的なほど弱い。そんなことできるのだろうか。
また、食糞がでてきたけど、食べたくはないが消費しないといけない、消費すべきもの、素晴らしいものとされるものが、実は食糞でしかないんじゃないか。消費社会は全てをモノとし、何を消費すべきかは決まっていて、それがいつのまにか当たり前となってるのではないか。無意識な社会適応ってある意味で食糞たべてることなのかなとか、色々考えてグルグルしてしまった。
快作、傑作、名作。エログロという人間の根源的欲求を描きつつ社会問題を扱い、でも映像は荘厳で。すごい作品でした。万人にはおすすめできないけど、おすすめ!