あつぼう

サルバドールの朝のあつぼうのレビュー・感想・評価

サルバドールの朝(2006年製作の映画)
3.3
フランコ独裁政権下のスペインが舞台になってるけど、ほんの40年ちょっと前まではスペインがこういう国であったというのが驚きですよ。
今では観光スポットの定番として紹介されるような美しい国やけど、人々が自由な発言も出来ない国でドイツのような秘密警察が存在してる国やったんですよね。
そんな独裁政権に反発してアナーキスト集団の活動に身を投じわずか25歳の若さで死刑判決を下された実在の青年サルバドール・ブッチ・アンティックの人生を描いた映画です。
独裁政権を自分達の手で何とか変えたいと思う若者がいてるのは良い事やと思う。映画の中ではフランコ独裁政権がどれほど酷いかってところが描かれていないので、サルバドールの行動を理解するのに苦しむシーンもあります。彼らの行動って一歩間違えたら若者が徒党を組んで暴れてるだけって思えるんです。実際のサルバドールの行動がどうやったのか知らないけど、この映画を観るだけなら彼らの行動に共感出来る人は少ないかな。
民主主義で自由が当たり前の生活をしてる日本人やから彼らの思想と同じ目線で考える事が出来にくいのかもしれないですね。
ヒトラー政権の打倒を誓い散っていった女性を描いた【白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々】などと比較すると主人公達の行動が薄っぺらく思えました。
死刑が執行されるのか不安になる後半なんですが、看守とサルバドールの友情が心地良かったです。
この2人の奇妙な友情は立場をこえた友情で、重たい雰囲気の後半を少し和ませてくれました。
あつぼう

あつぼう