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サルバドールの朝のodyssのレビュー・感想・評価

サルバドールの朝(2006年製作の映画)
3.2
【スペインの歴史に材料をとった映画】

スペイン映画。マヌエル・ウエルガ監督作品。 

スペイン・フランコ独裁政権の末期に、ふとしたことから反体制運動に参加した若者が、逮捕される際に警官と銃撃戦になり、警官を殺したとして死刑になる話である。まともな証拠調べもせずに――彼の銃弾だけで警官が死んだのかどうか疑わしいという暗示が作中出てくる――死刑判決を受けた青年にヨーロッパ中から除名嘆願書などが寄せられるが・・・。 

一見するとわかりやすい素材だが、映画の冒頭から見ていくと、主人公が政治的な運動に加わっていく様には偶然性が作用しており、したがって単なる政治的なプロパンガンダ映画と言うよりは、青春の無鉄砲さによる悲劇、と見ることもできる作品だと思う。

ただし、そのために作品のテーマ的な凝縮性はやや損なわれているように思われた。
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