出てくる男が全員クズ！バーのマダムに寄生する弱小ヤクザ、その使い走りで糊口をしのぐ廃墟ぐらしの男、新聞社に身を置きながらヤクザに情報を売る編集部員、新聞社に融資しつつ女性編集長（越路吹雪）の体を要求する悪徳高利貸し…どいつもこいつも腐敗し屈折し敗北感と自信喪失を抱えた戦後銀座の闇社会！何気なく観た映画だがその救いようのないダークなムードに驚いた！

ヤクザの使い走り（一応主人公ポジション）の造形からすればおそらくハンフリー・ボガートのハードボイルドものに範を仰いでいるのだろうが、敗戦という出来事はここまで映画を黒く染めるのだろうか？ズームイン・ズームアウトや斜めの構図を多用する三浦光雄の外連味に富んだ撮影に杉江敏夫は怪奇映画のような演出で応え、歪み淀んだ戦後ノワールを見事に構築。無人の部屋に電話のベルが鳴り響くショットの寂寥感が忘れがたい。

人間関係が分かりにくく、必死に物語について行かないと内容が掴めないと思う。

東京銀座のダークサイドを描いたハードボイルドな映画だった。
アメリカ映画のよう。
影の使い方と雷や銃弾の音の使い方がスタイリッシュだった。

高利貸しの男が女を性的暴行して、たかがそれぐらいのことだと言うシーンもあり、本当に昔は性犯罪が非常に軽視されていたのだなと思った。