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異人たちとの夏のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.8

■■作品概要■■
中年のシナリオ・ライターが、幼い頃死んだはずの両親と再会する不思議な体験を描く。第1回山本周五郎賞に輝いた山田太一原作の同名小説の映画化で、市川森一が脚色。
監督は「HOUSE」「転校生」「時をかける少女」「この空の花 -長岡花火物語」などの代表作がある大林宣彦。
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今いちばん旬な俳優とも言えるポール・メスカル出演、「荒野にて」「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督でリメイクされると聞き、先に大林宣彦版を鑑賞。

人気小説の映画化とあって大林宣彦味は抑え気味に、職業監督に徹しているかと序盤を観るが、死別した両親と主人公(風間杜夫)が邂逅するあたりからハートフルな演出や、もう1人の死者である藤野桂(ミステリアスで妖艶なキャラクターを見事に名取裕子が体現!)とのホラー展開は大林宣彦ならではの不思議な余韻を残す演出が冴え渡っている。

主人公の母親を演じた秋吉久美子の、チャキチャキしてぶっきらぼうだが奥にある優しさが滲み出る演技が見事。
そして、父親役を演じた片岡鶴太郎、腕はいいが人に媚びず一匹狼のように自由に生きる寿司職人を演じていて、ハマり役。(今はもうヨガ職人になったので映画出演はないのかな、映画でもまた観てみたいが)
主人公が、両親の家に入ると子供の表情になるのが感動的。お母さんと2人になった時にドキドキし禁忌愛的な雰囲気を匂わせたりする辺りは大林宣彦的なテーマ性と言えるかもしれない。

この話をアンドリュー・ヘイがどう料理するか楽しみ。
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