ブラックユーモアホフマン

異人たちとの夏のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.5
なんと!初・大林宣彦なんです。
今まで機会を逃しまくり一本も見たことなかった。

でもこの映画は特にずっと見たいと思っていて、見る前から好きに決まってると予感してた。だから結果的に最初に見ることになって、良かった。

好きでした。大好きです。幽霊観が独特で、他にこんなのあんまり知らない。黒沢清の『岸辺の旅』は近いと思う。
普通に生きてる人間みたいに死者が出てきて、特定の人物から以外にも見えてる。
しかも死者に会うために特別な儀式のようなものを必要とせず現実と地続きに存在してる。強いて言えば「パトレイバー2」にも出てきた旧新橋駅が入口になっていたようにも見えたけど、でもそこから出ても現実は現実で変わらず続いていて全く別の世界に足を踏み入れてしまうとかじゃない。
だからその死者と関わりある生者の希望、願望が具現化してしまったとかいうわけではなく、死者には死者の意思がちゃんとあるし、それを見ている生者とは関わりなく死者には死者の個人としての生活がちゃんとあるように見える。
この微妙なニュアンスを成り立たせるのってかなり難しいと思う。すごい。

幸宏さんカッコいい。

【一番好きなシーン】
・浅草演芸ホール
・煮えるすき焼きの湯気が両者の間にずっとある構図の良さ。