垂直落下式サミング

座頭市の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

座頭市(1989年製作の映画)
3.5
名優 勝新太郎が監督・脚本・主演で、最後に自ら座頭市を演じたアクション時代劇シリーズの最終作。仕込み杖の居合刀を片手に、裏街道を旅から旅への放浪生活を続ける座頭市が、例によって道中で刺客に狙われる様子を描いている。
時代を経たことで気にならなくなっているけど、一見さんお断りのファンムービー。言ってしまえば、過去作にあった要素を抽出した焼き直しであり、人気曲をあつめたグレイテスト・ヒッツのベスト盤のような網羅的な内容。そういう映画なので、過去のシリーズを先にみている人にとっては、還暦近くなってもチャンバラを演じられる勝新の強フィジカルへの驚き以外は、特に新鮮に感じるものはない。
マイケル・ジャクソンのガチ勢に、「スリラーとスムーズクリミナルが好き」と言ったら「アルバム全部聴いてから出直してこい!」と言われたことがあるけど、座頭市のこれだけみて勝新をわかった気になられたら、僕も似たようなことを言いそう。テレビシリーズとかもみて。これまでを知らないやつに「集大成」とか言われてもちょっとね…。オタクの面倒くさいところが漏れそうになる。
ここで座頭市シリーズに興味を持ったら、これを足掛かりに昭和の名優のキャリアを遡っていくのがおすすめ。僕もその最中ですので。