ShinMakita

悪魔のシスターのShinMakitaのレビュー・感想・評価

悪魔のシスター(1973年製作の映画)
1.7
「仮の音入れでサイコの曲を使ったらハーマンに見せたくなり、本人呼んで映像見せたら曲を書いてくれたんだよ」(byデパルマ)




ニューヨーク。TVのクイズ番組に出演した美人モデルのダニエル・ブレトンとサラリーマンのフィリップ・ウッドは、収録後意気投合し、スタテン島のダニエルのアパートでベッドインした。双子の妹ドミニクと別れてしまい、明日の誕生日を独り過ごすのは寂しいというダニエルを慰めてやるフィリップ・・・そして翌朝、フィリップがバスルームに入ると、玄関から口論の声が響いてきた。久々にドミニクが戻って来て、男を連れ込んだダニエルをなじり倒しているらしい。ドミニクが部屋を去って行くのを聞くと、フィリップはダニエルのため頭痛薬を買いに出かける。ついでに、ケーキ屋でバースデーケーキも購入。「誕生日おめでとう!ダニエル&ドミニク」の文字も入れてもらうのだった。そしてアパートに戻り、ベッドで横になるダニエルにケーキとナイフを差し出して入刀を促すと、何とナイフを手に取ったダニエルは、フィリップのカラダに飛びかかり全身をメッタ刺しにしてしまうのだった。血まみれになり、助けを呼ぼうと窓まで這い寄るフィリップ。しかし、窓にたどり着いたところで絶命してしまう。そこへ、ダニエルの別れた夫エミールが現れた。キッチンに倒れていたダニエルは、エミールとともにフィリップの惨殺死体を見て驚愕する。やったのはドミニクだ!!!エミールとダニエルは、ドミニクの凶行を隠蔽するため床の血を拭い、死体をカウチの中に押し込むのだった。

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向かいのアパートには、女性記者グレース・コリアが住んでいた。市警の怠慢を告発する事件記事を数々モノにしていた彼女は、偶然眼をやった向かいの部屋の状況をみて飛び上がる。若い男が、窓辺でオンナにメッタ刺しにされているではないか!慌てて911に電話をするコリア。駆けつけた刑事とともに、向かいのアパートに急ぎダニエルの部屋に飛び込んだ彼女だったが、そこには涼しい顔のダニエルとエミールがいるだけで、血痕も死体もない。刑事の問いに、「私は一人暮らしで、いまエミールが来たばかりで、昨日も今日も誰もこの部屋には来ていない」と答えるダニエル。結局、刑事はその証言を信じ、「事件はコリアの見間違い」で片付けようとするが、コリアはムキになって家探しを開始。そして冷蔵庫のなかのケーキを発見する。上には「誕生日おめでとう!ダニエル&ドミニク」とある。これは、この部屋に第3者がいた証拠ではないか!と喜びケーキを持って刑事に見せようとするが、足を滑らせ転んでしまい、文字を見せる間もなくケーキは床で潰れてしまう。

刑事に厳重注意を受けて、ダニエルの部屋を追い出されてしまったコリア。警察が信じてくれないなら私が真実を暴いてやる、とばかりに、彼女は私立探偵ローチを雇ってダニエル宅を張り込ませる。自分は、ダニエルとドミニクの正体について調査開始だ。やがて彼女は、ダニエルが数年前に分離手術を受けたシャム双生児の片割れであった事実を掴む。温厚で優しい性格のダニエルに対し、もう一方のドミニクは凶暴で危険な性質であったこともわかった。では犯人はドミニクか?・・・しかし、分離手術の際、ドミニクは死亡したらしい。となると、男を刺し殺したあのオンナはいったい・・・???



「悪魔のシスター」


開巻いきなりグロテスクな胎児のショットで度肝を抜き、ヤリ過ぎ感満載のバーナード・ハーマン・サウンドが鳴り響いて、雰囲気は最高潮に達するのですが・・・フィリップが殺されて以降は正直かなり退屈です。エミールの変態具合とクライマックスも見どころではあるんですが、いかんせんあの放置カウチをただ眺めるだけのローチのショットで終わるという尻切れトンボ具合が・・・馴染めなかったです。

とはいえ、デ・パルマ・キャリアの初期作として、やはりいつもの技法・・・今回は分割画面がたまらない効果をあげているので、ファンは必見といえますね。そして

「窓から殺人目撃」(裏窓)
「瓜二つの女」(めまい)
「ナイフで刺す」(サイコ)と、ヒッチコック要素もぎっしりでございます。
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