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バットマン オリジナル・ムービーのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.8
 66年版の『バットマン』はドラマ版である『鳥人間バットマン』の劇場版で、世界観は最もアメリカン・コミックの雰囲気に近い。バットカーからヘリコプター、はたまたジェットバイクへとガジェットを乗り継ぎ、真に荒唐無稽なアクションが幕を開ける。劇場版だけにラスボスとしてペンギン(パージェス・メレディス)、キャットウーマン(リー・メリウェザー)、ジョーカー(シーザー・ロメロ)、ナゾラーとされているリドラー(フランク・ゴーシン)が連合軍として総結集しており、まさにゴッサム・シティの悪党オールスターズがバットマン(アダム・ウェスト)と相棒のロビン(バート・ウォード)に襲い掛かるのだ。悪党4人が潜水艦の内部に集結し、寸劇を繰り広げる様子はその後のシリーズを知る世代にとっては涙なしには見られない。心なしかバットマンとロビンのコスチュームはだいぶショボいが、ペンギンやジョーカーの服装はカラフルでどこまでもPOPに弾ける。

 人間の体内から全ての水分をとり去ることによって、人体をチリにしてしまう恐ろしい機械により、国連安保理事会の常任理事たちをチリにするという物語の荒唐無稽さはあるにしても、レスリー・H・マーティンソンの演出は底抜けに明るい。ヘリコプターに縄梯子で潜水艦に接近したバットマンの脚には張りぼてのサメが襲い掛かる様はバカ映画の様相を呈する。またブルース・ウェインとキトカとのロマンスも随分とたっぷりと時間を割いているし、当時の子供向け映画としてはギリギリのキス・シーンや、ロビンが監視カメラを消すことにより新たな展開を見せるなど多少の捻りも効いている。時限爆弾の処理に手間取り右往左往するバットマンの姿にはシリアスさなど微塵も見えないし、ロシア女の色気にのぼせ上がるブルース・ウェインの姿など果たして子供たちにどのくらい理解されたのだろうか?ペンギンとリドラーとジョーカーの3バカトリオの丁々発止のやりとりなど、21世紀の今となっては絶対に観られない漫才シーンもレア。クライマックスの海へダイブ・シーンの出鱈目な荒唐無稽さも今となっては絶対に観られないだろう。シリアスさがデフォルトとなった今のシリーズから眺めれば、こちらの方が2次創作に見えて来るから不思議だ。最高なおバカ映画。
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