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MEMORIESのdendohのネタバレレビュー・内容・結末

MEMORIES(1995年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

森本晃司監督「彼女の想いで」、岡村天斎監督「最臭兵器」、大友克洋監督「大砲の街」のオムニバスアニメ映画。
どれも作画は最高。一作品30〜40分ぐらい。それぞれ中編映画としてさくっと観られる。SF、現代劇、スチームパンクと舞台が全く異なるので、連続で観ても飽きが来ない。


『彼女の想いで』
SFホラー作品。救難信号を受け、宇宙船を散策する作業員が遭遇した怪異を描く。
大友克洋の同名作品が原作らしいが、著しい脚色が加えられているとのこと。幻覚描写への拘りを観る限り、その脚色は当然に脚本の今敏による所が大きいのだろう。後のパーフェクトブルー、千年女優、妄想代理人、パプリカといった今作品に繋がる一作。
音楽は菅野よう子、更には磯光雄も関わるなど豪華。

『最臭兵器』
とんでもなく臭いがその自覚のない男が、社命を受けて東京を目指す。自衛隊や米軍がそれを阻む。
近年は本作をコロナ禍に絡めて考察する論もあるというが、まあまあ納得。自分はシン・ゴジラを彷彿させられた。スーパーカブに乗った男に自衛隊総出で対処し、米国が介入しても止められないとか、なかなか笑える。
発生している事象は悲惨だが、演出は終始ギャグ調。兵器は現実の自衛隊配備のモノだろうが、描写が緻密で拘りを感じる。そう言えば久々に板野サーカス(インスパイア)を観た。

『大砲の街』
大友克洋が好きそうなスチームパンク的世界観。大砲の装填士の父、工場勤めの母、砲撃手を志望する息子を描くワンカット作品(厳密には切り替わりなしのシームレスで、厳密なワンカットではないかも?)。
実際には戦争相手が存在せず、経済政策のために大砲を撃っている印象すらある。プロレタリアが何やら運動をしている描写もあり戦中の日本っぽい雰囲気もあるが、状況的には蒸気機関が発達した第一次世界大戦下の全体主義国家? ストーリーらしいストーリーはないが、考察は色々できそうな作品。キャラクターデザイン含めて雰囲気は抜群。
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