ヴぇる

MEMORIESのヴぇるのレビュー・感想・評価

MEMORIES(1995年製作の映画)
3.2
3話構成のオムニバス形式であり、巨匠大友克洋が原作、監督、製作総指揮をとっているが、他にも(他というには余りにも失礼だが)名だたる方々が今作に携わっている。

1話目は10分であっという間にこの物語の醸し出す雰囲気に浸ることが出来、のめり込んで行った。
正直言って25年前の作品とはとても思えない程のクオリティで、今封切っても何も違和感を覚えないほどだ。
私自身そこまでSFが好きな訳ではないが、分かりやすくイライラもしないし簡潔だ。
ただ、終盤の脚本は多少安っぽく些か物足りなさを感じた。
しかし質は高い。アニメとオペラとSFが美しく絡み合い唯一無二の作品となっている。

2話目はパンデミックコメディであり、爆発シーンや煙の動きなど見どころは多いが及第点といった所か。

3話目は、所謂今流行のワンカット風の作品であるが、ワンカットの良さを活かしきれておらず、加えてワンカットの欠点が目立つ形にってしまっている。つまりは、視点を変えないからこそ臨場感や迫力があるのに対し今作は日常シーンが多く上手く作用していないのだ。加えて欠点である、場面転換が良くない。引きの絵を横滑りすることで対応しているが多すぎる。
この時代に新しい事を試し作品に仕上げていることは素晴らしいが、成功かと言われれば難しい所だ。

総評でいえば非常に面白い作品群の寄せ集めであり、年代も考慮すれば評価は高くオススメではある。
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