一人旅

暗殺指令の一人旅のレビュー・感想・評価

暗殺指令(1960年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
エンツォ・プロヴェンツァーレ監督作。

シチリアを舞台にした悲恋映画で、クラウディア・カルディナーレが良家の娘を物憂げに演じています。

シチリアで暮らす青年がマフィアから貴族の暗殺命令を受けるが、いざ標的を目の前にして殺しを躊躇ってしまい、さらには貴族の美しい娘と出逢った青年は二人でパレルモへと向かうが、やがて二人はマフィアの執拗な追跡によって追い詰められていき―という“逃亡サスペンス+悲恋ドラマ”です。

絶対的権力を有するマフィアが暗躍するシチリアにおいて、お互いに事情を抱えた若い男女の邂逅と恋愛と逃亡の顛末を描いたモノクロ作品で、全ての情報がマフィアに筒抜けになっていることや、一度関わったら簡単には縁を切らせないマフィアの非情で執拗なやり口が、風光明媚なシチリアの島風景とは対照的な“シチリアの暗部”としてサスペンスフルに浮かび上がっていきます。

惹かれ合う若い男女の逃亡と破滅を映し出した作品で、“CC”ことクラウディア・カルディナーレがヴィスコンティの名作『山猫』(63)で見せた野性味溢れる“陽”の演技とは対照的に、将来を悲観して物憂げに生きる良家の娘を繊細に演じ切っています。
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