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フローズン・リバーのtulpenのレビュー・感想・評価

フローズン・リバー(2008年製作の映画)
4.0
冒頭、どアップになるメリッサ・レオの荒れた肌はまるで老人のよう。
やるせない話だろうなぁと小さなため息をついたのもつかの間、彼女がまだそんなに老いてはいないことが小さな子どもがいることでわかる。
そして、決してしあわせな家族ではないことも、それを一瞬にして分からせるあたりが巧い。

カナダとの国境に面し、
モホーク族の保留地を抱えるニューヨーク州最北部の町。
2人の息子を育てながら、
この町で1ドル・ショップの店員として働く白人女性のレイ・エディ。
貧しさからモホーク族の女性と組んで不法入国斡旋に手を染めていく…。

氷りついた川のような彼女たちの暮らし。
抜け出したくてもその術すら見つからない。
そんな2人が出会ったことで人生が流れ始める。
暗い下り坂をゆっくり進むように。

見事な脚本に全く有名ではない女優2人の素晴らしい演技力。
震えるように寒かった心が溶けてゆく穏やかなエンディング。
女性監督の厳しさと限りない包容力に包まれた密度の濃い時間でした。


静岡シネギャラリーにて。
2010.3/10 (16) 通算1186
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