このレビューはネタバレを含みます
主人公の青年があわや殺されるかというすんでのところで照明が落ち、揺れる電源ボタン(エレベーターの可動スイッチ)に吸い込まれるように近付いた犯人が、だまし討ちを受け、情けない叫び声を上げて空のエレベーターホールへ落とされるまでの一連のリズムと呼吸が凄まじい。ディーバの登場率も存在感を発揮するにはこれしかないだろうという適切さがある。静的な会話の最中も空間の動線上を縦横無尽に動き回るカメラは、駅における攻防戦やカーチェイスなどのアクションシーンでは慎ましさを取り戻す。