半兵衛

脅迫(おどし)の半兵衛のレビュー・感想・評価

脅迫(おどし)(1966年製作の映画)
3.9
こういう家族を犯罪者に人質にとられ犯罪の片棒を担がされるというよくあるサスペンス的な題材をいつもの撮影の仕方でアクション映画にしてしまうのはさすが深作監督、それでいて主人公であるサラリーマンの心情を詳細に描いており犯罪者や家族の変化する関係性のバランスも丁寧に描いているのでサスペンスとしての面白さも残っておりそうしたアクションとサスペンスの配分が絶妙な状態で楽しめる。

静かに犯罪者にぶちギレる三國連太郎は沸点の低い深作映画のどの登場人物よりも怖いね、当初彼を小馬鹿にしていた室田日出男が彼の迫力に押されて最後泣き出しそうになるのも納得。

終盤の三國による逆転劇からの家族の反撃のスピーディーなアクション演出の素晴らしさ、そこから普通の監督ならほのぼのな描写で締めくくるところをストップモーションによる演出で何の余韻も残さずスパッと終わらせるところもgood。

西村晃が思わせ振りなことばかり言ってカリスマ犯罪者みたいな存在感を出しながら、実は狡いだけの単なる小悪党という見かけ倒しなキャラも『ダイ・ハード』のアラン・リックマンみたいで味がある。

子役時代の真田広之(このときは下沢広之)の名演にも注目。
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