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断崖のnowstickのレビュー・感想・評価

断崖(1941年製作の映画)
3.6
「身近な人物が殺人犯なのではないか?」という恐怖を描いたサスペンス作品で、同じくヒッチコック監督作品である「下宿人」や「疑惑の影」と似たようなテーマだったが、リアリティにおいてもクオリティにおいても、下宿人や疑惑の影の方が本作よりも上だと思う。
特に本作のラストは流石に無理あるだろうと思ったら、原作とも違っていて、制作途中で変更したらしい。このオチだと、流石に中盤の展開において説明がつかない部分が多い気がする。
まあ、ヒッチコック作品において辻褄とかを期待すること自体がナンセンスなんだろう。

良かった点としては、ラストシーンにおいて、セリフ以外の方法で観客に2人の結末を説明していたり、牛乳の中にライトを入れたと言われている、ある種の過剰の演出は面白かった。
ヒッチコック作品は脚本の酷さを演出の素晴らしさでカバーしてる感があるが、本作もプラマイで言うとプラスだとは思うし、まあ、良いんじゃね?とも思う。

ヒッチコック映画を立て続けに見すぎて、自分がヒッチコック作品のその辺の酷さに慣れてきたのか、本作が他のヒッチコック作品に比べてそんなに酷い訳では無いのかが、もう分からなくなってしまった。
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