黒旗

ウエスタンの黒旗のレビュー・感想・評価

ウエスタン(1968年製作の映画)
4.5
もしかするとレオーネ節が薄まったという人もいるかも知れないが、自分は三部作を経て極まったと思う。その洗練された高みはアカデミー賞を獲るような欧米作品にも通じてしまい無難さを醸している錯覚にも陥るが、冒頭で顔の蝿を追う男や、子どもの眼前に死神の様に現れる長衣の男たち。こんな邪悪で冷酷な視線を向けるヘンリー・フォンダさんを初めて観た。他の西部劇で演じられる役柄に、さらにもう一枚か二枚上塗りの役作りを施している。弦を張り詰める様に高まっていく緊張感は、前フリのサインがまったく無くともこれから何かが起こると観客に悟らせる。憎たらしいくらい計算尽く。ラスト決闘前には、刷り込まれてきたハーモニカの音色が楽曲に重なり…ああもう最高レオーネモリコーネ…!
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