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オーケストラ!のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

オーケストラ!(2009年製作の映画)
3.9
ラドゥ·ミヒイラヌ監督によるヒューマン・コメディの佳作。
原題: Le Concert (2009)

かつてボリショイ管弦楽団の天才指揮者と呼ばれたアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコブ)は、30年前に指揮者をクビになり、ボリショイ劇場の清掃員をしている。
支配人室の清掃中にパリのシャトレ座から送られた公演依頼のFAXを偶然目にし、自分と一緒に追放されたかつての劇団員を集め、ボリショイ楽団になりすまして演奏しようと計画する。
演目は30年前中断されたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。
ソリストとしてパリ在住のヴァイオリニスト、アンヌ=マリー・ジャケ29歳(メラニー・ロラン)を指名するが、過去のある事情が関係していた…。

~脇役~
・アンドレイの妻、イリーナ・フィリポヴナ(アンナ・カメンコヴァ):イワンの集会などのサクラ集めをしている。
・アンドレイの友だちのチェロ奏者、サーシャ・グロスマン(ドミトリー・ナザロフ):ユダヤ人。家族はイスラエルに移住している。救急車の運転手。
・ボリショイ管弦楽団の元マネジャー、イワン・ガヴリーロフ(ヴァレリー・バリノフ):熱心な共産党員。かつてアンドレイの公演に乱入して、人生を潰す。アンドレイからパリ公演での交渉役を頼まれる。
・アンヌ=マリーの親代わり兼マネージャー、ギレーヌ・ドゥ・ラ・リヴィエール(ミュウ=ミュウ)
・パリのシャトレ座支配人、オリヴィエ・デュプレシス(フランソワ・ベルレアン)
・オリヴィエの部下、ジャン=ポール・カレル(リオネル・アベランスキ)
・ロマのヴァイオリン弾き、ワシーリー(ゲオルゲ・アンゲル/Anghel Gheorghe:タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのメンバー):偽造パスポートやビザを手配。
・ユダヤ人のトランペット奏者、ヴィクトール・ヴィキッチ(アレクサンドル・コミサロフ):トランペット奏者の息子とキャビアや携帯を売る。
・共産党の本部「トゥル・ノルマン」があった店のオーナー、アフマド(ラムジー・ベディア)

「これ以上邪魔するようなら、××をチョン切るわよ」

「ばあちゃんがいつも言ってた。"太陽は毎日○になると昇る。△は昇らない"
ばあちゃん?
…今は△だ。パリまで待つんだ。そこが"○"だ」

「彼女の代わりにはなれない」

「言葉を求めても言葉は裏切る。汚い。今も美しい は音楽だけ。でも音楽、 人の心に囚われて外に出ようとしない。なぜか」

初めてみたのは、フランス映画祭横浜で。
笑いと過去のシリアスな歴史がうまくブレンドされたフランスらしいコメディで、最後にある事実が明かされる。
とても音楽の力を感じる作品で、過去とシンクロするラストの演奏シーンはまさに圧巻。自然に涙が溢れます。
クールな美貌のメラニー・ロランは監督としても活動しているが、俳優としてはタランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」に続いて出演した本作が代表作。
なお、ヴァイオリン協奏曲 (チャイコフスキー) の演奏はブダペスト交響楽団、指揮はベラ・ドラホス、ソリストはサラ・ネムタヌ。
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