NANCY

レバノンのNANCYのレビュー・感想・評価

レバノン(2009年製作の映画)
4.0
中東戦争レバノン戦争の話。
視界が全て戦車の中で構築されている。
映し出されるのは、戦車の内部と、戦車のスコープから覗く小さな外の世界。
中東戦争自体本当にえげつない戦争だと思うのだが、今作を観て、また、考えさせられた。
こんな作戦や環境では戦争はきっと終わらない。
映画としてのアイディアは素晴らしい。
映し出される世界が全て戦車の中や、戦車のスコープから覗く小さな外の世界のみなので、その場にいるような感覚を憶えられる。
戦車の中というのは意外にもこうまで詳しく映し出される映画はほとんど無い。
アメリカ軍の戦車とは訳が違う。
戦場の中の生き地獄のような戦車内部。
気が狂うのも仕方が無い。
細かい描写を主に置いているので、戦車の内部の悲惨さが手に取るようにわかる。
衛生環境が劇的に良くない。
外にいる陸軍も戦場にいるわけだけれど、戦車の中の兵士はこんなにも厳しい戦いなのか、と感慨深く感じた。
終わりはもちろんハッピーエンドではない。
主人公が勝ったり負けたりする訳でもない。
しかし人間の恐ろしさ、狂気、環境、戦場そのものが味わえる。
アイディアが面白く、音楽が雰囲気をバッチリ作り出している。
戦争の恐怖の一部を観ました。
NANCY

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