イチロヲ

妖精たちの森のイチロヲのレビュー・感想・評価

妖精たちの森(1971年製作の映画)
4.0
世俗から隔離された環境で育てられている富裕層の姉弟が、欲望に忠実な使用人(マーロン・ブランド)に感化されてしまう。1961年度「回転」の前日譚を描いている、エロティック・サスペンス。ヘンリー・C・ジェームズ著「ねじの回転」を原作に取っている。

「回転」で主人公を精神不安定な状態へと追い込んだ姉弟の、人格形成の部分を切り取っている作品。「臭いものに蓋をしない精神」をもつ使用人が、姉弟の本能と自我に高刺激を与えてくる。

本編ドラマでは、姉弟には理解が届かない、大人のサドマゾ心理がメインに扱われる。使用人による緊縛テクニックが、日本のそれと大差ないところが印象的。少なくとも日活ロマンポルノへの影響を推量することができる。

何よりも、「学校では教えてくれないことを教えてくれる伝道師」の存在意義を提起しながら、子供への影響力を説いていく論法が素晴らしい。筆者が参考書を購入するたびに、エロ本を無償で提供してくれた古本屋の店主、今も元気にしているだろうか。
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