歩葉戸路素

火星から来たデビルガールの歩葉戸路素のネタバレレビュー・内容・結末

火星から来たデビルガール(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

イギリス製の珍作SF映画!
DVDで既に4回は観てる

スコットランドの田舎の旅館にUFOが舞い降りてきて中から火星から来たデビルガールが登場し人類征服を宣言する!

映画好き友達がコレをやたら好きで一緒に鑑賞するハメになったのが初見、その後妙にハマってDVD購入してたまに観てる
実はあの大槻ケンヂ氏もこの映画好きらしくて、ごく一部の人に刺さる何かがあるようだ

とにかく火星から来たデビルガールのキャラが濃すぎ!
UFOと旅館を徒歩で行き来し、火星文明の凄さを誇示すべくビームガンやロボットを見せびらかしたりUFOの仕組みをベラベラ語ったりする
四次元体なので銃も効かずテレポートも可能
(だったら徒歩で歩かず瞬間移動すれば良いのでは…??)
そしてデビルガールの圧倒的淑女っぷり!!
隠し事は一切せず正々堂々と腹を割って自分の野望やUFOの弱点を語る騎士道精神
追い詰められた人間側の「作戦タイム」中も手を出さず、人間を絶望させるために暴力を使わず火星文明の自慢話だけで物理学者を論破し屈服させる高知能
かと思えば地球の大気が厚すぎて着陸場所をロンドンと間違えたりウッカリ屋さん
いわばまさに、圧倒的女王様っぷりな悪魔系ドジっ子萌えガール

一番の爆笑ポイントはデビルガールお墨付き歩く冷蔵庫こと「ジャーミー」の活躍(?)シーン
デビガルが「人間共め…私の最強兵器ジャーミーを見て恐れよ!」とか言ってラジコンいじってたら
UFOから冷蔵庫のようなポンコツロボットがヨチヨチと降りてきて火星兵器で木や車を破壊して人間側に恐怖を植え付けるのだが
ジャーミーくん歩くたびグラついてて今にも倒れそうで「中の人がんばれ!!」って応援したくなる
ジャーミーくんが兵器で人間をビビらす度に満悦の笑みを浮かべるデビルガールにこっちまでニヤニヤしてしまう

火星では男が絶滅危惧種だから地球から男性を全て攫ってしまおうという地球侵略は笑えるけど斬新で風刺っぽくてイギリス感あって良いし
人間側が庶民ばっかというのも当時のアメリカSFではあまり無かった個性的な要素
「永久運動」「連鎖反応光線」という物質の分子構造を変えて四次元に転送する破壊ロジックがSFっぽかったりして好き

この映画がもしモンティ・パイソンのスケッチで笑いSEがあったら傑作コメディとして残っていたのでは…?と思わずにいられない
風刺と騎士道精神に溢れた珍作SF映画
歩葉戸路素

歩葉戸路素