やり手の詐欺師であり凄腕の泥棒で、四年ぶりに刑務所から出所したダニエル・オーシャン。今も想い残す元妻テスの交際相手でありラスベガスで三つの巨大カジノを経営する冷酷非道なベネディクトの現金強奪を狙う彼が、その筋のスペシャリスト10名を集めて難攻不落の金庫へと侵入する様を描いた人気ケイパー映画シリーズの第一弾です。
スティーブン・ソダーバーグが1960年の同名映画をジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットらの豪華キャストでリメイクした2000年代の泥棒映画の代表格ですが、敵の悪党ぶりが乏しい上に目的も私的で義賊ものとしての爽快感は少なく展開も後出しジャンケン的、チームは数人のスターと走る脇役のオシムジャパン編成で渋滞感があります。
そういった弱点はありながらと、ムーディーで軽快なバックミュージックに乗せて成長を必要としないハイレベルスタートの粋な大人の男たちが、警戒する相手を一歩も二歩も上回って無双する様は潔さが感じられて気持ちが良いです。スタイリッシュなムードが全体に漂い、オサレ感で世界の老若男女を気軽に楽しませてくれる娯楽映画です。
