スゴイ。
映画というのは、それ自体が持ってるパワーというか生命力みたいなものが強いところが魅力的なんですが、
それがこの「アーティスト」には漲ってて、ああ映画っていいなぁ、と思わせてくれる。
サイレント映画の持つ魅力と古さ、トーキーの持つ新しい輝き。それが交わる時代っていうのは、体感していないとその葛藤はわからないのだろうなぁと思うだけでも個人的にはロマンです。
キャラクターに関しても愛嬌があっていい。
主人公は自信過剰で偏屈な頑固者でいけ好かない男のはずなのに、少年のような目をしてライバル映画を楽しむ様子なんかが素晴らしく可愛らしく、自身の拘りをどこまでも曲げない所もどこか憎めない。
ペピーは無邪気で太陽のような瑞々しさが可愛らしく、誰からも愛されるであろうチャーミングさがステキ。
勿論主人公の執事やお犬様もキャラ立ちしていてとても魅力的。
話が進むにつれ、主人公の序盤のわざとらしい表情から段々と素の表情になってゆくのがストーリーとリンクしていて俳優の名演が光っていますね。
ストーリーは分かりやすくありがちなのですが、それが余計なことを考えさせないので良い。そして単純さをとことん魅力的に、説得力を持って際立たせる様々な演出が見事。
お恥ずかしながら本作が2011年の作品と知らず、てっきり古い作品だと思っていましたので驚きました。
この時代にあえてこういった作風で映画を作るセンス。ただ古風に作るだけではこんな素晴らしい作品にはなりませんよね。
本当に映画愛に溢れたステキな作品でした。