あんじょーら

モンスターズ・インクのあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

モンスターズ・インク(2001年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

モンスターが住む世界では、子供の悲鳴が全てのエネルギーの基になっています。しかし、子供に触られると死んでしまうといわれている世界です。子供を怖がらせ、悲鳴を上げさせ、尚且つ触られないでエネルギーを貯める会社モンスターズ・インク社のエース、大きく青い毛むくじゃらのモンスター、サリーことジェームズ・P・サリバン(石塚 英彦)と、小さく目玉だけのようなマイクこと、マイク・ワゾウスキ(田中 祐二)はコンビを組んでいます。モンスターズ・インク社の稼ぎ頭であり、社長からの信頼も厚いのですが、ライバルで蛇ととかげのあいのこのような姿形の冷血漢ランドールは虎視眈々とトップの座を伺っているのですが・・・というのが冒頭です。





まず、子供の悲鳴がエネルギー源でありながらも、子供を恐れている、という設定が素晴らしく面白いと感じました、まさにツカミが良いです。サリーというモンスターの姿形も面白く、じゅうたんのような毛むくじゃらが生き生きと動く様はアニメーションで表現されているとは思えないほどでした。またマイクの動きの面白さはとてもアニメーション的で、安心して見ていられます。敵役の容姿も、見るからに、という部分と、その前提を崩す部分があって面白いです。



動きの面白さ、ピクサー作品に興味がある方にオススメ致します。



アテンション・プリーズ!


多少ネタバレありますし、ラストに言及しています。なので観賞されていない方はご遠慮くださいませ。

















































ただ、「子供の悲鳴がエネルギーではあるが、子供を恐れている」という設定にだけ頼りすぎているとも感じられました。「恐ろしい存在だが必要」というテーマをもっと掘り下げられるような気がします。対象が子供であっても、見せ方次第ではエンターテイメント性を損なうことなく出来るのは「トイ・ストーリー」で証明されてますしね。


「どこでもドア」のような構造の面白さもあるにはあるんですが、これは「ドラえもん」を知っている人にとっては当然とも言うべき設定ですし、サリーがブーに気に入られるという感情だけで、サリーがマイクよりもブーを選ぶまでに至るのがもう一つ説得力に欠けているように感じます。そして、サリーとマイクのバディ感を盛り上げる為に、行き違いや葛藤が起こった(サリーはブーを、選ぶ)後のマイクの側からの一方的な歩み寄りに不自然さを感じます。例えば回想シーンで昔のサリーとマイクの友情を表すシーンがあったら、もっと受け入れ易いものになっていたはずだと思うのです。マイクはサリーに対していつも威張ってはいるけれど何処か頼りないところ、サリーの実力の補助的な役割をこなすというコンプレックスを感じさせているのに、それでも、という部分があって良いと思います、もう一捻り欲しいと感じました。そういう意味でも今ひとつ作りこみあがっていない、という印象を受けました。



しかし、それも全ては「トイ・ストーリー」を見てしまったが為の期待値の高さが、ハードルを上げてしまったからかもしれません。ブーがまだ言葉を介してのコミュニケーションが出来ない部分の表現の面白さとか、見るべきポイントも多かったと思います。もちろん最後の最後、扉を開けたサリーの表情で再会を演出するのも、かなり説得力持たせるのに表情だけで挑むのは難しい演出だと思いますが、悠々とクリアしていて素晴らしかったです。