垂直落下式サミング

死の砦の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

死の砦(1958年製作の映画)
3.5
保安官に追われる身となってしまった男が、夫を殺された母とその子をひきいて、インディアンの襲撃から身を守るために砦を目指す物語。
なんか気に入ってしまった往年の活劇俳優クリント・ウォーカー。ガタイMAXすぎて馬が小さくみえるし、小学校低学年くらいの子供ならひょいと片手で持ち上げてしまう。クソデカタフガイである。
死体から拝借した衣服がこれ見よがしにアップになることで、今後の展開への関与をほのめかす。そんで、当たり前のようにインディアンはなしとか通じる相手じゃない超蛮族!よっしゃあ、白黒映画みてんだなあって感じだ。
逃亡者クリント・ウォーカーは、親子を助けて古い砦まで連れていくことになるんだけど、男女が絡むとメロドラマみたいになるから、かったるかった。古い映画はこういうところが苦手。
銃を撃ちたくて仕方ないガキはまあ許せるけど、お母さんは待てって言ってんのに落馬して溺れるし、やたらめったらヒスっちゃう聞き分けのわるい生意気な女で、めっちゃ嫌い。ミソジニー発動!
一方で、途中で合流する三枚目の流れ者はいい感じ。小汚ないけど飄々として自由で、マカロニだったら善玉やれたまである。道すがら出会っただけの女子供なんか放っておいて、コイツと気ままに旅してほしいと思ってしまうのは、恋愛やら家族やらを信じてなさすぎかな。
クライマックスは籠城戦。砦がコマンチに包囲されてしまって、助けを呼びにいく時間もないので、アイツが持ってた大量の最新式連発銃をぶん捕ちゃおうって、これちょっと可哀想すぎるだろ。
平気で女を襲うような悪漢だし、敵であるインディアンに武器を横流しして大儲けしようとする裏切り者ではあるけど、だからってわざわざ殺しにいくのは違くないか?
それなのに、主人公が犯したとされる罪については、恩赦でお咎めなしどころか、実はめっちゃ潔白でしたっていう徹底っぷり。善と悪と、しっかり切り分けるのが教育的ではある。
僕みたいな「女捨て置け」みたいなバグった倫理は、古きよき西部劇に入り込む余地はないわけですけれど、クリント・ウォーカーは父性を背負うよりも、孤高のタフガイをやってる姿が似合いそう。他のもみたいですね。