垂直落下式サミング

ヤマトタケルの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ヤマトタケル(1994年製作の映画)
3.5
不思議なパワーを持つ王子ヤマトタケルが、邪悪な神の化身と戦う姿を描いたSFアドベンチャー。古事記に着想を得ている。
一応はヤマトタケル伝説に則っているけれど、ペルセウスの受難もしくはアーサー王伝説みたいな、R.P.G.に用いられる西洋神話のルールでもって、古事記におけるヤマトタケルの冒険を描いている。
とりま、ロケーションがいい。圧巻の大自然で自然遺産みたいな絶景ではなくて、どこの県の田舎にも一つか二つくらいはありそうな、そこそこの行楽地っぽいのがいい。
大和朝廷が本州を制圧していく過程、日本史における神話と史実の狭間の緩やかな境目を描いているため、ファンタジックでありながら現在の日本との地続きさを感じさせる。
三つの神宝。クマソ討伐。なくてはならない草薙の剣。ドでかい厄災のヤマタノオロチ。スサノオの力を宿した合体ロボ。僕は日本神話をモンスター映画の文脈で認識しているので、だいたいこんなもんなんだろうなって納得したけど、本来の古事記は絶対こんなんじゃないと思う。
現代劇だと説明的でたどたどしく感じるような若い俳優たちの硬い演技も、次第にヤマト人訛りみたいに聴こえてくるから、神話の映画化作品としてセリフに重みが増して、ファンタジックな世界観を補完していた。戯曲っぽい雰囲気が気に入りました。
沢口靖子の「オン!」っていうへっぴり腰ミニかめはめ波みたいな技はなんやろ。威力にバラつきがあるから、破壊力の実数値はそれほどでもないけどクリティカルヒットすればヤバイ特効ある系かも。そういうサイドエフェクトがあるんなら、先に言っといてほしいな。おーん。眼力強め邪神ツクヨミの阿部寛はちょっと…。さすがに目からビームはどうかと思う。