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ソルジャー・ドッグスのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ソルジャー・ドッグス(1986年製作の映画)
4.0
1975年、タイ、カンボジア、ミャンマー国境にまたがる麻薬地帯黄金の三角地帯に私設の軍隊を擁して猛威を振るう麻薬王サムトンを逮捕するため、タイ政府はアメリカのグリーンカードを報酬に五人の傭兵部隊を送り込んだ。
チェン・チャン(エディ・コー)をリーダーとする戦闘のプロ集団である彼らは私兵たちを蹴散らしてサムトンを拘束、追っ手をかわしながらタイ国境を目指す。
途中でチェンの息子と義妹を加えた一行はベトナム国境で警備隊員たちがフランス人ジャーナリストを理由もなく私刑しているところを目撃、義憤にかられたチェンと仲間たちは警備隊を攻撃してジャーナリストを救出した。
その戦闘で片目を失いプライドを傷つけられたベトネム軍将校(ラム・チェンイン)は復讐の鬼となりむりやり軍を率いてチェンの部隊を追撃する。
サムトンの私兵、狂気の将校が指揮するベトナム軍、そして将校が暴力で脅して放った第三の刺客・山岳狩猟部族たちの猛追。
そんな時、チェンのベトナム戦争での戦友ルイスの半ば基地のような隠れ家に部隊はたどり着く。
ルイスは逃亡兵だった。隠れ家を包囲した三つの軍隊は協力して一斉攻撃を仕掛けた。激しい銃撃戦の中、部隊の仲間たちは次々に死んでいく。
ルイスは愛する女たちが凌辱されたことで戦士として誇りある死を選び、爆弾を背負ってサムトンの私兵たちの陣へ特攻する。狂った将校に怖れをなしたベトナム軍は撤退し、チェンは将校を殴り殺す。
長い闘いが終わり、生き残ったのはチェンとその息子だけだった。
彼らは筏に乗って夕日を背に河を下っていった。
この映画は、1983年ゴールデンハーベスト社制作でジョン・ウーが監督脚本した「黄昏戦士」というタイトルで一度完成したけど、ゴールデンハーベスト社がそのバイオレンス描写が社風や香港の観客と合わないということでお蔵入りした。シネマシティ社の台湾支社で、ジョン・ウーが3年映画を撮らせてもらえなかった原因になった。「男たちの挽歌」の大ヒットに便乗して、やっと公開された問題作。
流れるようなカメラワークの戦闘シーンでの壮絶なバイオレンスはジョン・ウーアクションの原石として楽しめるし、子供と妻を人質に取られたチェンが機転と早撃ちで敵を倒し妻子を救ったり、ベトナム軍の将校に捕らわれたチェンを危険を顧みずチェンの息子が救ったりのチェンと息子の強い絆、チェンと戦友ルイスの強い絆などジョン・ウー独特な生死を越えた男同士の強い絆の熱いドラマは楽しめるが、ルイスと女たちのラブシーンやチェンの部下のギャンブル狂が村長と勝負するシーンなど余計なシーンが映画の面白さを削いでいる。
ジョン・ウーのファンなら一見の価値ありの、戦争アクション映画。
「どこへ行くんだ?」「友を探しに。たとえ死体でも」
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