アむーレ

わが母の記のアむーレのレビュー・感想・評価

わが母の記(2011年製作の映画)
3.4
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売れっ子小説家として活躍する伊上洪作と実の母である八重との親子愛を描いた作品。
5歳の頃から8年間、母に捨てられ土蔵の母に拾われ育てられたと思い込んでいた洪作だったが、その8年間には深いわけがあった。
歳をとり痴呆が進む母であったが、洪作は母との会話の中で思いもよらない言葉を耳にし、そのわけを知るのであった。
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洪作が5歳の頃というと戦争真っ只中で、その時血縁を守るためしなければいけなかったやむを得ない決断だったという時代背景がこの物語を紐解くキーになっていました。

また、人は誰もが歳を取るもの。
その中で、ボケてしまって忘れてしまっても、心の中に大事なものは残るものなんだという文学的美しさも感じられた作品でした。

その痴呆が進む母を演じた樹木希林はさすがで、違和感がまったくなく芝居臭さを感じなかったのがスゴいと感じたところでした。

物語の進行としては、早口のセリフ回しが多く視聴者側が付いていききれない部分はあったと思う。
特に映画のタイトルが出るまでの冒頭の5~6分。登場人物の関係性が全くわからないまま、身の上話やなんてことない世間話が早口でドタバタと進んでいくので、以前はここまで観てギブアップしてしまったほど。
今回リベンジして最後まで観ましたが、やはり冒頭部分はとても苦手でした。
他にも、過去を語る際の説明的なセリフが多くて、それらを映像で再現したり分かりやすく伝えるアイデアがもう少し欲しかった。
洪作をめぐる周りの人物(妻、3人の娘、お抱えの秘書やスタッフ、兄弟など)がとても多く、相関関係を理解するのにしばらく時間がかかってしまったかな。
そのへんをもっと分かりやすく表現していただいたら、もっと感情移入できたと思う。

1コマ1コマの美しさは感じるんだけどね。
良い映画だと思うけど集中が要る。寝不足のときには頭に入ってこないと思うよ。
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