しんた

クライング・フィストのしんたのレビュー・感想・評価

クライング・フィスト(2005年製作の映画)
4.5
人生とは悲しいのに可笑しく、可笑しいのに悲しいという矛盾の塊である。
片や事業に失敗した元銀メダリスト、片や暴力にものを言わせた結果、収監された犯罪者。
この二人がリングで拳を交わすのは必然だったのかもしれない。
この作品、何と言ってもカット割りが抜群に良い。良いなどという言葉ではその素晴らしさを伝えられない。絶品、とでも言うべきか。
映画とは結局のところ、観客に何を見せて、何を見せないか、の取捨選択によるのだ。このリュ・スンワン監督はそれを理解していて男たちの人生を、戦いを見せつけてくる。
人の人生を、身なりの汚い人を、人の道から外れてしまった者を指差して笑うのは簡単だ。だが、その者たちが立ち上がり、怯える己を奮い立たせて戦う時、我々は本当の勝者を知る事になる。戦った者が本当の勝者で我々は傍観者に過ぎないのだと。必見の傑作だ。
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