ゆみな

クライング・フィストのゆみなのレビュー・感想・評価

クライング・フィスト(2005年製作の映画)
3.8
リュ・スンワン監督作品まだまだ観てますよ。これは、今までのとちょっと違う感じ?泣いた泣いた!負け犬人生とかそういうのに滅法弱いのでね。良かったですよ。

簡単なあらすじ。
アジア大会の銀メダリストになったこともあるボクサーのカン・テシク(チェ・ミンシク)は、事業に失敗し莫大な借金を抱え、妻子にも逃げられ人生のドン底。学もなくボクシングしかできない彼は路上で“殴られ屋”して小銭を稼ぐ毎日。
一方、ケンカとカツアゲに明け暮れる19歳のユ・サンファン(リュ・スンボム)は、強盗に失敗し少年院送りとなる。そこでボクシング部に入部し、次第にボクシングの魅力にハマっていくサンファン。
そんな2人はお互いどうしても負けられない事情を抱えて、新人王戦に挑むことになる。

何が私を泣かせた…って、やっぱり今が人生いちばん辛い時っていうのがヒシヒシと伝わってきましてね。私もババアになって…最近では親目線で物事を見てしまう傾向があり、だからこそテシクと子供のシーンは観ていて胸が痛い部分もあり…。もう、学校行って教壇に立つテシクの不甲斐なさが切なくて…ガンガン殴られてるから物忘れが酷くなっちゃってるんだよね。それを恥ずかしいと思ってしまった息子の気持ちは痛いほど分かるし、そのあと謝りに行った息子の泣き演技につられて涙腺崩壊しまして。
サンファンもサンファンで少年院に入っている間に父親が事故で他界……葬式に出ることも出来ずに落ち込んでいると、今度は祖母がボケちゃって…。今までの自分の行いに大反省するんですよね。
2人とも過去の自分と決別するためにも絶対に負けられない1戦なんですよ。この新人王戦が。
この映画の面白いところは、そんな2人が初めて対峙するのが決してなんですよね。そこまでは全く関わりがなくて、だから所謂イーブンなんですよ。どちらにもドン底人生から這い上がって欲しくてね。勝敗を見たくない気持ちにすらなると言うか…、だってどっちにも勝って欲しいんだもんほんとに。
まあ、結果を観てホッとした感はあったので、監督上手くまとめたな…とは思いました。精一杯頑張る姿ってのは清々しいものですよね。いやー、いい映画だったな。
ゆみな

ゆみな