大西辰明

アメリカン・ヒストリーXの大西辰明のレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.7
社会派映画の傑作だ。
今まで見てきた社会派の作品の中でベスト1になりました。
なぜそこまで言えるのか具体的に語っていきます。

・社会的問題を自分事として考えさせる圧倒的なカメラワーク

この映画は終始カメラワークが登場人物の顔面を至近距離で捉えていて、そのことにより
役者一人一人の繊細な表情をしっかり撮ることで、大きな問題を抱えた一つの家族を題材に人種差別問題の複雑な構造、閉塞感、問題点、打開策までをほぼ完璧に描き切ってる、そうすることによって人種差別問題が日本人の自分にとっても全く他人事ではなく、今まさに自分の身の回りにも起きているという臨場感を感じさせる物凄い引力、パワー見たいなものがあるから、社会派映画独特の説教臭さが皆無でずっーと話の内容に惹きつけられる。

・綺麗事で片付けない真っ向勝負感
口当たりのいい締めくくりをするのではなく
ラストの衝撃的な展開で、この問題の一番恐ろしいところ、憎しみの連鎖をきっちり描くことで、観る側をドン底に落として荒療治的に人種差別問題に必要なのは対話、愛、多様な価値観の許容であることを心の底から感じさせることに成功しています。

この映画を見て、いてもたっても居られなくなって何か自分にできる差別を無くすための運動は無いかと考えた結果…
バスケのコートは皆んなで使うと心に誓いました。
自分事として社会の色んな問題を考える素晴らしい機会を与えてくれる作品です。自分にもし子供が居たら見せたいぐらいオススメです!!
大西辰明

大西辰明