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アメリカン・ヒストリーXのymのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.3
差別的意識は、自分の内側から出てくるというよりも周りの影響が強いのでは。
食卓での議論の際、デレクは一見論理的に話しているようだったが実は自分の偏った主張を貫いているだけだった。異なる意見を受け入れる柔軟性はなかった。自分の主張は事実と想像とを混ぜて語るのに、相手の主張に対しては事実もデタラメだ嘘だと言う。いわゆる話が通じないように聞こえたのは、デレクが自分で考えたことがなかったからだと思う。父親やネオナチリーダーのキャメロンの言うことを疑うことなく信じてきた。その背景としては、賛同することで得られる仲間意識や安心感が大きいのかもしれない。仲間外れになりたくないから周りの言うことに賛同し、それがどんどん大きくなっていく。そして一部を切り取ればその主義主張を裏付けるような実体験(デレクの場合は父親の死)を伴うことで疑わなくなる。
だからこそ、刑務所で孤独になった際にようやく自分の頭で考え、自分が信じてきたことやってきたことのおかしいさに気づけたのだと思う。
外側から与えられる情報を盲目的にインストールするのではなく、自分の中に取り込んで頭で考えることが大事だよなと学んだ。(もちろん、人種差別の根深さについてよく考えさせられたことは言うまでもなく。)
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