尿道流れ者

バラカの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

バラカ(1993年製作の映画)
4.0
素晴らしい映画のかっこいいオープニングカットを繋げて一本の映画にしたような美しい大自然ドキュメンタリー。自然と人、宗教と人、文化と人、そして仕事と人が次々と映し出される。圧倒的な自然の力強さや文化遺産の美しさが心を打つ。人は映し出されても登場人物と言える人もおらず、踊りや儀式の掛け声でしか人の声は聞くことはないが、人とその取り巻くものとの対話が生きる姿を通して聞こえてくる。
特にケチャのシーンの異様な雰囲気は素晴らしくて、ものすごい生命力を感じた。ケチャのリーダーが撮影用なのか、選ばれし者ゆえなのか、わき毛をきっちり処理している感じにビビっときた。

会話もナレーションもストーリーもないが、場面場面の移り変わりやその繋ぎかたにははっきりと意図があり、ただ美しく、面白いだけでなく皮肉な部分もあり目が離せない。

もしかしたら矮小な事を必死にやってるだけの人間かもしれないが、子どもとか未来とか、そんなほんの少しの希望のために汗を流して働く姿は素晴らしい。この映画に映し出される人々の生活レベルはバラバラで全ての人が幸せとは言えないし、辛い場面もあるが胸に残る何かを与えてくれる素晴らしい映画。観ても生きてる意味は分からないが、生きてる価値はわかる気がする映画。