Hiro

大岡政談 魔像篇のHiroのレビュー・感想・評価

大岡政談 魔像篇(1960年製作の映画)
3.1
大友柳太朗さんの『血文字屋敷"Revenge for His Lover"』と同じ作品☺️

本作品はわりとあっさりと描いている。
が、しかし面白い!

八代将軍徳川吉宗の世。篠つく雨の中で老中筆頭・近藤相模守の駕龍が何者かの馬に狙撃され、河中に転落、溺死した。
当時、江戸市中に大屋の偽小判が流れ巷に話題をまいていたが、この事実を探ぐるため参詣に名をかりて駿府の金座におもむく途中を狙われたらしい。
相模守怪死の報を喜色の面で迎える幕僚の中にあって、相模守と縁あった園絵を妻に持ち深く私淑していた御金蔵番・神尾喬之助は、義憤を感じて名奉行・大岡越前守に訴え出てみるが、何故かにべなく取り下げられてしまった。
労中筆頭の座は脇坂山城守が代り、その輩下には大目付牧野、若年寄米倉らがひしめいた。
喬之助を快よく思わぬ実弟の御書院番頭・脇坂近江之介もその一人である。
ほどなく親友・満谷妥女を失った喬之助は、勤務中に眠り薬を盛られ、消えた千両箱を証拠に失脚を謀られてどこへともなく消え去った。
喬之助のいない神尾家は悲惨だった。義父・伊豆屋伍兵衛が医者の長庵に五百両を騙し取られ、園絵は近江之介の魔手を逃れるため命を断った。
厳しい詮索の網の目を潜り一夜我が家に舞い戻った喬之助は、この事実を知って怒髪天を衝き、近江之介ら一味十二名の首を挙げようと固く心に誓う。
復讐の鬼と化した虚心流・喬之助の刃が四番首を狙ったとき、捕手の波に取り囲まれてかくまわれた先は、越前守腹心の岡っ引き壁辰の家であった。壁辰もまた越前守の秘命で偽小判の謎を追っていたのだ。
一方、喬之助の出没で至極迷惑を蒙っているのが彼と瓜二つの浪人・茨右近だ。喧嘩渡世を看板に観化流の豪剣を振う快剣士だが、それが六番首を追う喬之助とバッタリ出くわした。一度は刃を交した二人もやがて意気投合、その日から喬之助は右近の家にかくまわれることになった。
喬之助が追う牧野、米倉、近江之介らの動静を黙って見つめる魚心堂と称する老人がいる。一日中手から釣竿をはなさず、喬之助、右近の側に現われることも度々だ。
一方、ますます羽振りを利かす山城守の下に蠢く米倉たちは、油商人・南海星幸兵衛を城中に出入りさせて私腹を肥やしていたが、神出鬼没の喬之助には勝てず、米倉の七番首が飛ぶ。喬之助の活躍の蔭には、右近はもちろんのこと、喬之助を慕う壁辰の娘・お妙の力添えもあった。だが真実、彼女は喬之助が人を斬ることを望んではいない。
今や江戸の話題は喬之助に集まり、恐怖におののく近江之介ら残る一味五人は、腕利きの剣客を集めてこれに備えるが、一夜、近江之介を襲おうと血気にはやる喬之助を厳しく押しとどめたのは例の魚心堂だった。
旭日昇天の如き山城守は、大老の座を狙い、そのふるまいには目に余るものがあったが、偽小判の流出は依然後を断たない。この謎を追う越前守の活躍は目ざましく、壁辰が得た情報から、かつて近藤相模守を襲ったのも偽小判鋳造団であることが判明する。
偽小判鋳造を嗅ぎつけられたことを知った一味の中では、同志討ちも起こり、越前守の活躍舞台もますます拡がってくる。やがて山城守の大老就任も内定し、その祝いを兼ねて南海星邸で琉球踊りの宴が張られたが、その最高潮の場で意外なことが起った。異国風の踊り子衣裳をかなぐり捨てた一人の勇…誰あろう神尾喬之助である。更に踊り出た今一人の踊り子は喬之助の“影”こと茨右近だ。
「十二人の首を斬ると誓ったが、今日只今それを取り消し、改めて非道の男、十三人目の素ッ首を所望す!」
明敏越前守が図星を指した謎の男、十三人目の人物とは一味を陰から操る脇坂山城守その人だった…
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