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パプリカのdendohのネタバレレビュー・内容・結末

パプリカ(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2023/03/28
今敏の遺作にして総決算を久々に観ました。思えばこのパプリカを劇場で観たのが、私の今敏作品との出会いでした。同時に主題歌『白虎野(の娘)』でも衝撃を受け、帰りにTSUTAYAで平沢進のアルバムを借りに行ったものでした。

映像だけですと、何度も観ても設定面でよく分からない部分がけっこうあります(原作も読んだら理解が深まるかも?)。ただあまりストーリーを深く理解せずとも、映像の迫力だけで十分にお腹いっぱいになります。

中でも有名なパレードは、原作で複数ある悪夢のエピソードを一本に纏めたものらしく、恐ろしい程に膨大なモチーフが取り込まれています。様々な国の人形、様々な宗教のモチーフ、家電、家具、道路標識、信号機等の行列が平沢進の楽曲に合わせて練り歩く様は、まさに『風邪を引いたときに観る悪夢』そのものです。

それに対抗するパプリカも、サーカスのピエロ、西遊記の孫悟空、ギリシャ神話のスフィンクス、人魚姫、ティンカーベル等、あらゆる人物に変身します。そして夢と現実が混濁していった結果、パプリカが現実に具現化。このシーンが一番ワクワクしました。

一点だけ不満を言えば、2023年の未来から観ると、どうしてもジェンダー描写が古く臭くて気になります。
今だったら、敦子の性格的に『名字が千葉に変身する』ではなく、時田を千葉姓にさせそうですが。
あと同性愛者が軒並み悪人なのも気になりました。別に悪人を同性愛者設定にするのは良いと思いますが、揃いも揃って黒幕側なので。。。
また、パプリカが小山内に触られるシーンがある為、子供にみせるのは躊躇しますね。裸のシーンがあるとはいえ、直接的な性交渉が描かれるわけではないのですが(笑)

いずれにせよ、世界に影響を与えた今敏の遺作 として、日本人なら一度は観てほしい。日本人でなくとも全人類に観てほしい。そんな作品でした。

(追記)
今作の粉山は映画制作者を目指していたという設定ですが、今敏作品には、何だかんだで創作者や俳優が登場することが多いですね。『妄想と現実』の描写との親和性が高いのでしょうね。
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