Kai

パプリカのKaiのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.0
すごい!
高尚。官能的。まさに90分の夢を見ているよう…。
どれだけ哲学を突き詰めたらこんなものが描けるんだって思っちゃいました…。

■夢とは
夢は、期待通りのものが現れたり、恐れていることが起こったり、期待が過度だと実現しない不安が実現を妨げたりする。
その表現がめちゃくちゃリアルだった。

夢は、起きている時に解消されない何かを夢に見ることで、起きている時の正気を保っているとも言われている。
が、夢で見たことが現実で起きる、正夢というものがあるという。
現実を生きるために存在するのが夢か?
それとも、夢をトレースするための現実か?

■心霊現象
ただ、夢というよりも、この映画が描いている事象が心霊現象にすごく近いと思った。
この作り手は心霊現象が身近なのか、怪談が好きなのか…?
そういえば、赤い衣の市松人形ですし…。

■誇大妄想の終わり
現実世界でのパレードが始まった時、誇大妄想の終わりを感じた。
大きくなりすぎた理事長の夢は、現実を支配できるとおごっていた。
万人にとってのカオスとなった夢は、「死」という分かりやすいレッテルを貼られてしまう。
そして、ひたすら無邪気な「生」である子供に勝つことはできなかった。

■インセプション?
いや、アプローチがかなり違うと思った。
インセプションでは夢と現実は切り離されていて、夢はあくまで深層心理や記憶。
パプリカでは夢と現実は表裏一体で、直接互いに影響を与えるので。

■泣ける
いいんだよ、お前は映画を地で行った…
そうなんだよ、いつの間にかそばにいるんだよな…かたわれは。
Kai

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