Chris

パプリカのChrisのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
3.9
何だかよく分からないが観てよかったと思う得る映画だった。ところどころ理解できない意味不明な部分もあったが、それも含めて楽しめた。
夢の表現が情報が渋滞しているカオスそのもので、今敏監督特有の気持ち悪い描写の表現が絶妙にマッチしていて強く印象に残った。曲も意味不明な歌詞と不安になるような壮大な音楽やSEがパレードの雰囲気を作っていて素晴らしいと思った。また主題歌はパプリカの明るい性格や不思議な女性の魅力を紹介するのにすごく適していたと思う。平沢進の音楽をさらに知りたくなった。
最も印象に残ったのはパレードが現実世界と混入する場面だが、一番好きだったのはパプリカが変幻自在に変身し夢の中を駆け回る場面である。この場面は特にパプリカに焦点が当たっていて、彼女が孫悟空や人魚や妖精など様々な姿に変身して奮闘する様子がみていて本当に楽しかった。
映画を通してパプリカというキャラクターがすごく好きになった。キャラクターデザインもいいし、天真爛漫な性格に少し謎がある部分が何とも言い表せない魅力がある。
ラストにかけてどんどん理解が追いつかなくなり、ずっと頭の上にクエスチョンマークがあったが、「君たちはどう生きるか」とは違い、不思議と意味不明な部分も楽しむことができた。自分でもこの二つで何が明確に違うのかは分からない。ただ「君たちはどう生きるか」は最初から最後まで理解できなかった。対して「パプリカ」は序盤に設定の説明があったし、何より引き込まれるような混沌とした演出が目立っていた。ここが二つの作品で大きく異なる点ではないかと思う。
原作を見るとまた新たな視点が得られるかもしれないが、この映画だけなら謎な部分も楽しめる面白い作品だと思った。
Chris

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