ヴぇる

パプリカのヴぇるのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
3.3
OPまでの導入は完璧で1級品の映像作品として賛辞を受けるべき作品だろう。

シックな雰囲気を維持しながら謎を解明してく、色んな映画や今敏監督の過去作での全てを究極まで研ぎ澄まして作り上げた彼の最高傑作だろう。
映像はもちろん背景含めて芸術と言えるほど美しく動きも多彩で表情が生き生きしているし、声優達は日本を代表する一流の人間が作品の質を高めている。

今作の感想に難解や理解し難いという物が良くある理由の1つとしては、内容自体は割とシンプルな話なのだが、劇中で真面目に議論している事に加えて、現実世界と夢の世界の切り替えが多発するため付いていくのが困難だと思われるのが要因だろう。

脚本自体はそこまで素晴らしい訳では無いが、これを映像化するにはアニメーションという技法しか無かった訳で、実際成功させている監督の手腕は驚きでしかない。
が、欠点としては話に抑揚があるようでなく、仮に戦いに負けたからと言って、何が問題だったのか、なぜ打ち勝たねばならなかったのかが描ききれておらず、勝った所でカタルシスがなく、ラストはなんとも言えない気持ちが残る。

総評としては、今敏の才能と力の限りを使い難しい原作をなんとかアニメーションとしてまとめ成功に収めた稀有な例だと言える。偉大な作品であるとは思うが個人的にに好きか?と問われれば難しい作品だ。
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