"アメリカvsソ連"
これ、今アメリカで放送したらめちゃくちゃ盛り上がるんじゃないかな?
米ソ冷戦時代に公開されたプロパガンダ・ロッキーは、前3作以上に異色性が高まった怪作。
シリーズの十八番であった、お決まりのテーマソングに乗せてのトレーニングシーンは無くなり、変に回想シーンをMV形式で流すという珍妙な演出に失笑。
アポロへの思いを馳せてドライブするロッキーとスライドショーはとにかく観ててしんどかった。
今回の敵・ドラゴについては、ロシアの化学兵器とでもいうべき巨神。踊る破壊兵器と呼ばれたアポロを殴り殺し、現役チャンピオンのロッキーに対しても敵意むき出し。当時のアメリカとソ連の関係性を二人を通じて描き出す。確かにアメリカの希望の星をパッと出のロシア人に殺されたのだから、その怒りは計り知れないでしょうね。
ただアポロの死に悲しむ暇がないというか、そこだけ異様にテンポが早いのが不気味。前作のミッキーの死のような悲しさは微塵も感じられず、あれだけ華やかに登場しといて殺されるってアポロにカッコ良さを見出だせなかった。
また、冒頭から突如登場するロボットもレギュラー面してはいるものの、本当にロボット以外の何者でもない。ソ連に対抗してのアメリカの最先端技術の象徴として描くにはあまりに滑稽すぎるので、あまりに無意味すぎるのではないか。
勿論、ラストファイトはアポロの意思を背負ったロッキーに熱くなれるものの、ドラゴに打ち勝つ方法が前作のマンネリ化そのものだし、勝者のスピーチに無駄に政治色が入って焦点がブレすぎ。アポロとの友情ぐらいはかたるべきだったのでは?
ただ、これが『クリード』シリーズと繋がると思うと、必要な作品なのだろうと思う。ドラゴに殺されたアポロの息子がロッキーをトレーナーとしてチャンピオンを目指す。このストーリーだけでも観ない理由が無い。
さて、次作はファンの間でも最も評価の低い5作目。シリーズ一作目の監督が復帰しているのに何故そんなに酷評されてるのか、自分の目で確かめて見ないとわからない。