イシダコ

裸のランチのイシダコのレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
3.5
原作の映画化というよりも、原作者バロウズの伝記的事実や他作品のエピソードを断片的に繋いで再構築。そもそも原作自体に明確な粗筋がない特殊な形式が取られているため、この自由でメタな映画化の仕方はアイデアの勝利と言えるし、別物でありながらも原作の本質をしっかりと突いているのは見事の一語に尽きる。ベースとなるヤク中の幻覚や狂った妄想も、その作りの自由さと相性がいいハマりを見せている。ただ、出来上がった映画そのもの以上にその翻案にこそより面白みやカタルシスが感じられてしまうのは、若干矛盾が生じてしまっている気がしないでもない。まあクローネンバーグ特有の無機物と有機物のグチョドロな融合はかなりたっぷり入っている方だと思うので、それが見れるだけで充分に満足度はある
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