イシダコさんの映画レビュー・感想・評価

イシダコ

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第8日の夜(2021年製作の映画)

3.5

欠点も多いことは多いのだけど、それに負けず劣らず美点の方も印象強く残る感は全然ある。近年の韓国産オカルトホラーの中では、これでもいちばん優れていると言ってもよいのでは? パク・ヘジュンどんだけ投げ飛ば>>続きを読む

華麗なる晩餐(2008年製作の映画)

3.0

アンチヴィルヌーヴの自分でも全然面白く観れた。確かにこれがなかったら『プラットフォーム』も生まれていなかったかもしれない(とはいえ落下していくのが人間か食物か、またそいつらは富裕層か貧困層か、そしてそ>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.5

素ン晴らしい、即座にブルレも注文した。シンプルでミニマムな設定ながら、あの手この手で退屈にさせない一流のテクニックが隅々にまで行き渡っている。画の質感、空間設計、簡素でありつつも洗練された美術とデザイ>>続きを読む

インフェルノ 蹂躙(1997年製作の映画)

4.0

あからさま且つ多少のつたなさは感じる一方で、しっかりと手順を踏んで見せていく丁寧な演出と脚本に好感が持てる。口八丁手八丁で相手に付け入って誘導、間違った方向に疑念と不信感を植え付けて精神的に追い詰めて>>続きを読む

エマ、愛の罠(2019年製作の映画)

3.0

確かにこれは“愛の罠”だわ。とんとん拍子で事が進みすぎだけど、それもある種狙ってやっている側面があるのかね。そのせいもあってか、若干の寓話味も感じられた。ダンスと火炎放射器は、機能的にさほど効果を発揮>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.0

新天地を求めての過酷で不穏な旅。ライカートらしい淡々とした、何も起きていないに等しい退屈な語り口だが、主人公たちに直面する厳しさの体現として、これは題材とのマッチングがなかなかよかった。ロケーションは>>続きを読む

Junior(原題)(2011年製作の映画)

3.0

『RAW』の原型。主演も同じギャランス・マリリアー。『RAW』より更に幼いときに撮られているだけあって、“少女のめざめ”描写はある意味アチラよりも痛々しく見える。急激な成長への不安は、よくよく考えると>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

2.0

本筋に全く関係ないどうでもいいことを記しておくが、キャンプ翌朝のカートの立ちション。わりと離れた位置から撮ってるのに弧を描く曲線の太さと出る量がハンパなく、あんな異常しょんべんは初めて見た。キャンプな>>続きを読む

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

4.0

最初の公開時にシネセゾン渋谷で観て以来の再見(22年前)。武士道に傾倒する殺し屋ゴースト・ドッグと年老いたジジイしかいないイタリアン・マフィアの集団。時代が変わったことを理解しようとしない者たちが血を>>続きを読む

カルネ(1994年製作の映画)

4.0

念願叶って20年ぶりの鑑賞。いま観てもキレッキレで唯一無二の編集及びテロップ芸、そしてダイレクトな描写。ノエを特徴づける挑戦的なさまと衝撃的な生々しさがたまらない。主人公の盲目的な復讐は、のちの『アレ>>続きを読む

ジャグラー/ニューヨーク25時(1980年製作の映画)

3.0

娘を連れ去られた父親がニューヨークを駆けずりまわる。面白いことは面白いけど、過大評価されている感も否めず。たとえばナ・ホンジンの作り上げたチェイスシーンや緊迫感なんかに慣れた身からすると、手に汗握るも>>続きを読む

デスペレート・リビング(1976年製作の映画)

3.5

のっけから異様にテンションが高く、そのまま絶叫続きでエンディングまで突っ切っていく地獄巡り。確かにこれはジョン・ウォーターズの最高傑作かもしれないという印象を持ちつつ、しかし本当に延々やりたい放題のフ>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.5

見応えはあったけど刺さるほどのものまではなかったのが惜しい。若者の話だからいいっちゃあいいんだけど、絶妙に青臭くてダサい作風が若干気になった。タイトルの打ち出し方とか、あんな凝る必要があったのかどうか>>続きを読む

SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)

2.0

同じ“イノセンスの救済”テーマとして『勝利号』に匹敵するぐらいな今年の韓国映画ベスト枠を期待していたけど、大幅に読みが外れた。足元にも及ばない。この監督にエンタメ大作の素養は一切身についておらず、アク>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

4.0

改めて観るとアントン・イェルチンとジョン・ハートの二人が今は亡き故人であることに奇妙な偶然性を覚える。人間以上に人間味が備わっているティルダ様とトムヒの吸血鬼ラヴァーズは、とりわけラストの決断と行動に>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

5.0

何てイカれた映画だ。これ凄い、傑作じゃんか! なんでディスが多いのか信じられない! 夜になっても日が沈まないというフレッシュな異変、美しくもおぞましい色の月光の輝き、ゾンビを倒したときに巻き上がる黒い>>続きを読む

グレアム・ヤング毒殺日記(1994年製作の映画)

3.0

冷淡で硬質、なんなら風格も感じさせるような良い意味で地味な文芸的作風を予想していたら、まさかのサクッとしたテンポのポップな快作。意外にもブラックコメディだった。実話で死者も多数出たこの題材でそれをやっ>>続きを読む

クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

3.0

雰囲気は悪くない。クローネンバーグの『スパイダー』やフリードキンの『BUG/バグ』を想起しながら観ていたら、意外や終盤は同年製作のあの映画を思わす展開で奇妙な一致。ハサミで頭を抉ったりナイフで爪を剥が>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

3.5

会社帰りに路地裏でレイプされ、フラフラで帰宅したら空き巣に出くわしそこでまた別人からもレイプされる。大胆すぎる設定だが、主人公を男性嫌悪と私刑活動に向かわせるお膳立てとしては説得力に溢れている。後半、>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

2.5

IMAX-3Dで鑑賞。豪快でダイナミックな画ヂカラも、雑な演技・脚本・編集で台無しに。あまりにも酷い完成度だが、さすがに2021年にもなってこういうのを見させられると、一周まわって稀少価値のようなもの>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

ビジュアル演出や選曲がポップに狙いすぎで、そこはちょっと冷静に観てしまいノレずじまいだった。そういう演出は後年になって再見したときにダサく感じやすく、得てして賞味期限が早いように思う。またキャリー・マ>>続きを読む

バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.0

見事なまでに狂ってない。極めて論理的。じっくり時間を重ねても、増すのは拍子抜け感と焦らしのストレスのみ。撮影は良かったのと、素ン晴らしいゴア描写が一カ所あったので甘めに採点。ただ、最初の一発目をあれだ>>続きを読む

豚が井戸に落ちた日(1996年製作の映画)

3.0

所々でめっちゃ面白いところもあるけど、全体通してだとこのスコア。いやでも、デビュー作にはその作家のすべてが詰まっているとか、あれって本当は嘘なんじゃないか。終盤、まさかのホン・サンス作品らしからぬ展開>>続きを読む

ラ・パロマ(1974年製作の映画)

3.5

怪奇映画のような雰囲気と奇妙な音使い、求めていたダニエル・シュミットのテイストは充分に堪能できた。スローすぎる語り口に期待はやや下回ってしまったが、死後の世界で味わう浮遊感のようなものと捉えれば、むし>>続きを読む

シンプルな情熱(2020年製作の映画)

4.0

「愛されない美女もいる、愛される醜女もいるけど」の台詞が表すとおり、これは愛されない美女の話で、愛されない醜女でも愛される美女でもないありきたりを避けた設定がまず秀逸。しかも衣装やヘアメイクなど、とく>>続きを読む

肉体の悪魔(1971年製作の映画)

3.5

期待どおりの面白さではあったけど、同時にそこが限界でもあり、期待を超えてくる満足感みたいなものは正直なかった。俳優陣はやたらテンションが高く、展開は矢継ぎ早に切り替わっていく。ただ全体的に台詞での応酬>>続きを読む

ベレジーナ(1999年製作の映画)

2.5

うーーん、イメージしていたのとだいぶ違った。ダニエル・シュミット、こういうキッチュで軽いトーンのコメディも撮っていたのか。ラストは遺作に相応しい展開と締め方を見せてくれてはいるものの、そこに行き着くま>>続きを読む

太陽と月に背いて(1995年製作の映画)

3.0

ハゲたおっさんと美しい若者との蜜月、そしてこのどクズ同志による痴情のもつれ。醜くて面白い話なのだが、型通りの破天荒とも言うべきか、所詮はオーソドックスの域にまだまだ浸かっている状態なのがどこか口惜しく>>続きを読む

ネイキッド(1993年製作の映画)

2.0

マイク・リーらしからぬ刺激的要素が含まれる題材の面白みはあるものの、中身自体は至って平凡。主人公を始めとして登場人物たちは見ていて共感ができないめんどくさい人間ばかり。展開も納得がいかない支離滅裂っぷ>>続きを読む

クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立(1970年製作の映画)

2.5

会話一切なし、全編モノローグでの進行。それがないときはサイレントか奇っ怪なノイズ的SEのみで劇伴もかからない。おまけに冒頭で「私の名前はトライポッド」と名乗っていた主人公は、途中から「トライポッドは〜>>続きを読む

野獣たちの掟(1988年製作の映画)

3.0

銀行を舞台に、犯人と人質たちによる籠城ドラマ。トンシンこれが二作目らしいけど、キャラクターの捌き方からテンポに至るまで、キャリア初期からなかなかの濃密度と手練れ感。後半へ進むにしたがってちゃんと緊迫感>>続きを読む

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

4.0

ドルビーアトモスで鑑賞。前作に続き、今回もジョン・クラシンスキーが余裕で及第点以上の演出力の高さを発揮。イメージどおりとその逆手を自在に切り替えて、役者の魅力を存分に高めたかと思えば(キリアン・マーフ>>続きを読む

バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所(2012年製作の映画)

3.0

ここでもストリックランドの『サスペリア』好きが窺える。製作中の魔女映画の映像は一切見せずに音だけでイメージを誘発する、観客の想像力を働かせることでそれぞれの作品が頭の中で仕上げられる知的な作り。雰囲気>>続きを読む

ファブリック(2018年製作の映画)

4.5

誇張でも何でもなく開始数秒で傑作を確信した。画の見せ方・繋ぎ方、レイヤーを感じさせる音使い、絶妙なシュール加減をもたらす悪趣味な笑い、他の作品とは一線を画すキレッキレのセンスが最初から最後まで炸裂して>>続きを読む

みんな死んだ(2020年製作の映画)

3.0

笑いのさじ加減が作為的すぎるのと、90年代の渋谷のミニシアター作品のようなちょっと古臭いバイブスに正直最初はノレていなかったのだけど、新年を迎えてからのフルスロットルな大殺戮に問答無用で魅せられた。セ>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

3.5

レストア版で鑑賞。自信満々な攻めのトニー・レオンが大好きなので、何度観ても本作のくよくよとしたチャウに愛着が持てず、毎回それ一点のみで『2046』に好みの軍配が上がってしまう。といはえ美麗すぎる4K効>>続きを読む

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