SSDD

裸のランチのSSDDのレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
3.9
■概要
1950年代作家を諦めた男は害虫駆除の仕事をしていたが、殺虫剤を使ってトリップしていた妻に勧められ使い始めると幻覚症状に悩まされる。
ある日ウィリアムテル(りんごを頭の上に乗せて弓で射る)ごっこをしようと妻にトリップ状態で言うと、妻は頭にコップを乗せるが拳銃の弾丸は妻を撃ち抜いてしまう。
警察から逃亡を計るが、幻覚で見るマグワンプという奇妙な生物からインターゾーンに行きスパイ活動して報告書をタイプしろと言われる…。

■感想(ネタバレなし)
あらすじから何を言ってるかまずわからないと思うが本編が始まるとあらすじ部分までにすでにカオスなことがわかる。

サックスにビビットなクレジットで始まり、害虫駆除の業者の割にベストまで着込んだ洒落た茶色のスーツにハット。革靴と最高にカッコいい。
数秒後には駆除が始まり、観たことも無いGが数匹というセンセーショナルなスタートを切り度肝を抜かれる。

そして幻覚があまりにもさらっと現実と交わり始め、正常な第三者もそれに合わせて会話していることからもはや現実と幻覚の境目なんてない。

まるでスターウォーズのように観たことも無い生き物が日常にいるのが普通という雰囲気に戸惑わされます。

なにがぶっ飛んでるってあらすじの逃避行した場所の前から既におかしなことばかりしかないこと。

原作からしてストーリーと言える筋のようなものはないということらしい。
インターゾーンどうこうも意味がわからん。

裸のランチとは原作者曰く、麻薬を摂取することは裸で食事を摂取することだ=理性のたかを外して脳で味わっているという意味だということ。

つまりはトリップ状態を見る映画ということのようだ。
虫を使ったグロテスクさや、有機物と無機物を組み合わせた造形は悪趣味ながら魅力的。

特にGと化すタイプライターは秀逸で一度見たら忘れられない…。

壮大なトリップを魅せられていく…感じが圧巻でした。








■感想(ネタバレあり)
もうギーガー並みのクリーチャー造形に強烈なインパクトを受けるのだが、メタといしているものは様々な欲望や肉欲なのだろうがよくわからない。

結局インターゾーンとは麻薬や酒でトリップした先の非現実への逃亡先であり、報告書を書くことで現実では裸のランチという小説を書き上げて行っていることになっていた。

最終的にインターゾーンでも再度妻をウィリアムテルごっこで撃ち抜いてしまう最後は…逃避行の中でも現実で起きた悲しい事故を再認識し、バットトリップとなったと捉えていいのか、現実世界に戻る旅の終わりを示すのかはわからなかった。

一度観れば忘れることはできないが意味を理解は不能と言える作品。
怪作好きな方にはおすすめの作品だ。
SSDD

SSDD