揺れる白いカーテン越しにはじめて出逢う擬似親子の対面シーンと、口元異様に近すぎるキス。生まれてこの方走ったことがないスタンプ公爵が誘拐時に手に持つ優雅な日傘。赤い旗を掲げた民衆を銃撃する谷間での惨劇。教会の祭壇まで乗り入れるお迎えの車。四つめの輪にはなれなかった男のゴミのようにほうりだされる屍体。床屋のオヤジの靴は一生モノ、といえば、ジョンタトゥーロの靴のくだりが終盤にまた出てくるのもいいし、タトゥーロの可愛い動物の編み込みのセーターひとりだけ浮いていて気になっていたら牢獄で刺繍。その針で例のメッセージが添えられる。港の日没に淡く佇む電話、見送るマリア像。ランバートのいろんなダンスシーンよかったな。
