RyoS

尼僧物語のRyoSのレビュー・感想・評価

尼僧物語(1959年製作の映画)
4.0
これからは好きな監督の一人にフレッド・ジンネマンを挙げよう。

修道女になる過程をとても丁寧に描いていて、どのような教育を受けて何を考えどう行動しているのかがよくわかり、今後映画を見ていく上でもシスターという存在の理解に役立つと思う。そしてその過程が衣装の移り変わりという視覚的にわかりやすい形でなされているのも映画と親和性が高い。また、ミサのシーンや廊下を歩くシーンが、ミッドサマー的な気持ち悪さと美しさで構成されていて、宗教の良い面と居心地の悪い面が同居している感じがとても伝わった。

ヘプバーンの演技も素晴らしい!前半の訓練期間は何かやらかしちゃうんじゃないかという不安でいっぱいだったが、中盤いつの間にか安心して見ていられるこの成長っぷり、そして後半の葛藤への変化が心まで響いてくる。ほとんどのシーンがシスターの服を着ている&撮影もそこまで凝っていないので、本当に身体の表現に依るところが大きいはずで、ヘプバーンの繊細な演技力を感じれる数少ない映画だと思う。

全体的にヨーロッパパートはシックな色合いでアフリカパートがカラフルなのも現実以上に主人公の心境を表していて、オシャレな演出。全体的に音楽多いなと思ったけど、ラストの静寂を感じて納得した。
RyoS

RyoS